安倍晋三さん、凶弾に倒れる
安倍晋三さん、凶弾に倒れる
白昼堂々の元総理銃撃、それも準備された計画的犯行だった。そして、参議院選挙は自民党の勝利で終わった。選挙の応援演説に訪れた安倍晋三元首相が奈良県で凶弾に倒れてから1週間が経過した。犯人は手製の銃を演説する元首相近づき、後ろからぶっ放した。終えると静かに銃を置き、そのまま無抵抗で捕縛される。これはいったい何なのだろうか。静かな古都の駅前で起きた凶行であった。犯人の真の殺人の動機が今も理解できない。 犯人は、当初一家5人家族の暮らしだった。建設業を営んでいた父親が亡くなると、母は宗教にのめりこんでしまう。シングルマザーの寂しさには宗教が救いだったのだろうか。息子が自衛隊に入ったのも、一家の大黒柱として少しでも家計を支えるためだったらしい。ただ、母子は同居せず犯人はワンルームマンションに一人住んで、武器の製造に精を出していた。子は親を憎んでいたのだろう。ただ「不幸な人生」だったから凶行に走ったと断じていいものではない。 一方、安倍晋三さんの生い立ちは如何だろう。政界のサラブレットとしての人生だ。大学を出て、企業に就職したが、父親の秘書となったことを皮切りに政治のイロハを学ぶことになる。が、出し抜けの親である晋太郎氏の病死を受けて政治の道に進むことを余儀なくされる。よほど運と才覚に恵まれていたのだろう。若くして自民党幹事長を経験し、延べ9年にわたって2度内閣総理大臣を務めた。しかもその席を引きずり降ろされたのではなく、病気のために自ら降りたのである。 安倍晋三さんが亡くなると、期せずして世界中の要人は、賞賛の弔文で彼の業績をたたえた。トランプ前米大統領を始めプーチン露大統領も弔意を寄せた。タイム誌の表紙も飾るという。不慮の死ということを割り引いても、彼の生き方は素晴らしいものであったと思う。どことなくとぼけたユーモアが漂うことが多かった答弁もあった。 確かに本人も周りに「忖度」が生じる程に恨みを買う人事などはあったろう。森友学園問題ではマスコミを賑わした。ただ真相は闇の中だ。ことに奥様はことごとくマスコミの批判の対象になった。子どもにも恵まれずに終わった。だが二人は気の合う相棒であり、何でも許せる夫婦だったと思う。息もぴったり、ウマもあう仲であった。 家でくつろぐとき、テレビドラマの展開や、セリフにダメ押しを出したという。奥様に「将来は映画監督になりたい」と語っていたそうだ。引退した老後の趣味としてそれが叶えられたらよかったのにと思う。 妻はもはや心拍停止の夫に向けて、「晋ちゃーん、晋ちゃーん」と叫んでいたという。日常ではそのように呼んでいたのだろう。安倍晋三もまた政治家が本来やりたい仕事ではなかったのかもしれない。支援者からは奥様のことを「もっと夫をしっかり支えよ」と叱咤されたらしいが、二人の間では信頼の絆はばっちりとあったと思う。黄泉の国でどんな映画を作ってくれるのだろうと考える。 日本のマスコミは政治家・安倍晋三に点数が辛い。筆者も外交の手腕について褒めたたえたところ、異論があった。安倍さんは3流の大学の出だ。たくさんの大学を受験したであろうに、そこしか受からなかった。偏差値が低いからか時々、日本語を間違えた。ここぞとばかり偏差値の高い大学を出たに違いないマスコミはからかいをみせたのである。でも、そんなことが、人々の生活をダメにするとでもいうのだろうか?安倍さんが世界から高評価されるのはむしろこれからだ。狙撃犯人は最大級の国賊と言って差し支えない。 ( 2022/07/13 )
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