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世のうちそと

 うば桜は褒め言葉

うば桜というのは江戸ヒガン系の桜のこと。もとはと言えば山桜のこと。当時は嫁にいくと鉄漿(おはぐろ)をした。それが桜の色とマッチしてあまりにも妖艶に見えたことから、そう呼んだ節がある。
葉が出るより先に花が開く桜にはヒガンザクラ・ウバヒガンなど。葉がないことを「歯無し」に掛けた語。咲くときに歯(葉)がないのでその名がついた。
女盛りを過ぎても、なお美しさや色気が残っている女性。そのような女性に対して言う場合は「年齢がかなりいっているのに、どことなく色っぽさ、艶っぽさを醸し出している」という意味に聞こえる。
江戸時代では,20歳を過ぎると「年増」と呼ばれた。おおかたの女性の結婚が20歳までに済んでしまう時代。だとすると「ちょっと年をとっちゃった」、ってな感じだからか。25歳を過ぎると「大年増」,30歳くらいで「姥桜」と呼ばれる。現代なら30歳の女性に姥桜なんて言ったら,とんでもない。
うば桜が褒め言葉だなんて…。 でも、なんだか茶化されているような気がしないでもない。 本来の意味はそうであっても、その言葉のイメージが変化してしまえばどうなるものか。
 歌謡曲「花街の母」に、「どうせ私はうば桜・・」という一節がある。
最後に現代のパロディー「もじり百人一首」を紹介しよう。
老いてなお きれいと思え うば桜 私のほかに 見る人なくも
原作品「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに しる人もなし」
いつまでも女性はきれいであって欲しい。きれいになろうという気持ちを持っていて欲しい。たとえ人は見なくなっても、私はいつまでもそばで見ていますよ。

( 2013/04/11 )

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