ミミズの話
ミミズの話
ミミズは汚い、気持ち悪いといったイメージが強い。この聴力も視力も骨格すらないちっぽけな生き物が人類にとって重要な生きものであり、もし、ミミズがいなければ、「人類は文明を持てなかった」といわれたらどうだろうか。
ダーウィンはその生態に魅せられ、生涯最後の研究に選んだほど。博士に「この生きもの以上に、地球にとって大事な役割を果たし続けてきた生物がいくつも存在しているとはちょっと考えられない」とまで言わしめている。本書はそのミミズたちの人類に対する偉業を讃えたポピュラーサイエンス本だ。
原題は、土壌生態系の鍵にぎる生き物の話。大陸移動の生き証人であると同時に、太古の昔から大地を耕し続けてきた働き者で、今なお土壌生態系の鍵を握っているミミズたちの話、といった意味。
本書は、著者が自宅のコンポスト容器で飼っているシマミミズの話をひとつの軸に、もうひとつの軸にダーウィンとミミズの物語を語っている。
ただし、ミミズコンポストの作り方のガイド本ではない。いわゆるエコやリサイクルの域を超えた大きな視野から、土壌の再生や生命の循環について語る。興味尽きない本。 エイミィ・スチュワート著、今西康子訳、飛鳥新社、A5判288頁、定価本体1700円+税 ( 2010/10/15 )
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