ランドスケープ・造園業界情報はインタラクション
新聞・出版事業 展示会・イベント事業 ランドスケープ・造園業界の環境イベントと展示見本市はインタラクション
サイトマップ
環境緑化新聞・インタラクションの出版物
環境緑化新聞
環境緑化新聞について
誌面サンプルイメージ
環境緑化新聞35年のあゆみ
環境緑化新聞 緑風
エッセイ「世のうちそと」
ご購読お申し込み
弊社出版物
定期出版物
刊行書籍
映像関連商品
ご注文について
ご注文リストを見る
特定商品取引法に関する記載
世のうちそと

 芭蕉を越えた食べもの?

芭蕉を越えた食べものか?「つわもの巻」考察

 仙台駅構内の寿司屋通りに「あさひ寿司」はある。威勢の良い「いらっしゃい」の声に誘われて旅人3人はカウンターに腰を落ち着ける。とても賑わっている。

ビールを舐めながら、店内を見渡すと品書きが横に。中に「けむり巻き」、210円が目に飛び込んできた。のり巻きごと炙って、煙が上がるといったたのしいものがでてくるのであろうか。もう一つ。「つわもの巻」520円も気を引く。これはどんなものか。早速に注文。ほかの2人は、サービスセット2000円を注文して、「うまい」「うまいね」といいながら食べている。

当方のブツはなかなかこない。それだけに、否が応でも期待は高まる。2人は食べ終わり、茶を飲んでいる。思い余って、若い女性店員に催促する。注文がなされていなかった。「けむり」も「つわもの」もないがしろにされていた。人気寿司だねではないのか。

ようやく待ちに待ったものは、皿に並んだ。まず「けむり巻き」。期待を込めてかぶりつく。「?」中身は味付けメカブ。小さく刻んで、とろりとしてだらしがない噛みごたえだ。色は黒い、煙色と言えないことはない。メカブは太平洋岸が美味しいという。たしかに日本海側ではそれほど聞かない素材だ。それにしても、食した印象は、どこが「けむり」なのか、ケムに巻かれた気持ちになった。

そこで「つわもの巻き」に期待を賭ける。「けむり」より値段も張る。「つわもの」は「兵」か。板場に聞けばわかることだが、実に忙しそうなので遠慮する。推量するしかない。ここは東北第一の都市、かつて松尾芭蕉の紀行で知られるみちのくの途上にある。となれば、有名な一句が思い浮かぶ。

夏草や兵どもが夢の跡

夏草の野性味と熱気、辺境の地の兵の気概と自負、不遇に滅びたものへの克明な同情こそ、芭蕉を動かした詩心であった。義経を自害させよとの頼朝の義経追討逸話、平泉の藤原氏の三代にわたる顛末は人の栄華のはかなさを誘ってあまりある。

そんな歴史を秘めた「つわもの巻き」なのだろうか。ならば、海のマグロのトロと陸の芋のトロロの最強コンビに強者ツワモノを込めたか。とすれば、「兵」でいいはず。でも疑問は残る。

句は、平泉が舞台だ。今の岩手県である。仙台なら、塩竈、松島の宮城県ではないか。芭蕉もこの地では、忠孝の武士、和泉の三郎こと藤原忠衛を敬慕している。他県の句を使うことはおかしいから、つわものには、深い意味はないのか。追及は栓なしか。

そうであっても、夏草の生い茂る熱気ムンムンの兵たちの情景が思い浮かぶ。つまりこの巻き物を食すと「元気出るよ」、といったメッセージなのか。となれば芭蕉の句の解釈も変わって来る。

俳聖芭蕉の句の解釈をおびやかそうとするとは。なんて罪な「つわもの巻き」であろうか。肝心の旨いかどうかも判然としないうちに急かされて席を立ったのである。

( 2010/03/15 )

前のページ ( 34 / 100 ) 次のページ
ページの先頭に戻る
 
 
定期出版物ご紹介
環境緑化新聞
自然環境データBOOK
ECO-GREENTECH2007
LANDSCAPE&GREENERY
刊行書籍一覧
近刊書籍のご案内
環境ブックセンター
イベント・セミナー案内
ECO-GREENTECH
日比谷公園ガーデニングショー
主催・開催セミナー
 

環境緑化新聞 | 定期出版物 | 刊行書籍 | 映像関連商品 | 日比谷公園ガーデニングショー | エコ・グリーンテック | サイトマップ
会社概要 | 中国市場事業支援活動 | 社会貢献活動・NPO活動 | みどり提言賞のあゆみ | 環境緑化海外視察ツアー | バイオ-ステイク

copyright (c) Interaction Co., Ltd. All Right Reserved