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世のうちそと

 たばこの歴史に学ぶ

たばこの歴史に学ぶ
パッケージデザインにも流行あり

 東京・渋谷にある「たばこと塩の博物館」で「日本のたばこのパッケージデザインの歩み展」が開かれていた。

 昭和6年(1931)の満州事変、そして昭和12年(1937)の日中戦争と、戦争が続くなかで、日本は戦時体制を強化していく。たばこも、こうした時局の影響を受け、昭和9年(1934)頃から、各地のたばこ小売人組合を中心に、在満将兵慰問たばこの募集や国防費献納たばこの売り出しをはじめるようになった。たばこのパッケージも‘戦意高揚‘をはかるようなデザインのものが登場したり、さらに銘柄名から英語標記を禁止するといった処置がとられるようになる。

 しかし、戦局の悪化にともなって、深刻な物資不足となり、パッケージの紙質も落ち、刷り色も減らされ、たばこパッケージは文字通り色を失っていった。最後にはたばこそのものが不足し、‘販売するもの‘から‘配給されるもの‘になり、パッケージをデザインすることの意味も失われていった。

昭和43年(1968)、日本初のチャコールフィルター付きたばこで、現在も人気の高い「セブンスター」が発売された。昭和40年代後半(1970〜1974)に発売された「ミスタースリム」は100ミリ・スリムサイズの新しい形のたばこ。「峰」はヒンジリット型で銀色といった高級感あふれるデザインが特徴だ。いずれも消費者の好みに合わせたデザインのものが多い。

 昭和49年(1974)、戦後初めてマイナス成長を記録し、日本の高度成長は終焉を迎えた。商品つくりも見直され、商品の個性や意味を基に開発するようになった。発売後も効果的な広告宣伝を行って、ブランドイメージを確立していくことが重要になった。たばこのパッケージデザインは、より重要な役割を担うようになった。

手のひらにおさまる小さな面積に、多くの情報が詰め込まれている。その上で、そのブランドだけが持っているデザインの独自性をも追及していることがわかるだろう。

 日本を代表するたばこブランド「マイルドセブン」、この商品開発については、今までの日本のたばこ作りとは異なり、初めて「ブランドマネージャー制度」が導入された。この制度は、開発計画から広告戦略まで、すべての責任を負うブランドマネージャーをおき、その下でチームが動くことによって、明確なブランドコンセプトを持った商品つくりを行うとするもので、現在の商品つくりには欠かせないものとなっている。

「チェリー」などの広告には、「世界水準」といった言葉が目立つ。この背景には、たばこ市場における急速な国際化があった。実際、昭和40年代後半には、「オールドスプレンダー」、「マールボロ」といった外国たばこが日本専売公社とのクロスライセンス製品として発売された。国産のたばこが、これら外国たばこと競争していくためには、世界でも通用する製品の開発が欠かせなかった。

史上まれにみるヒット商品となった「ハイライト」の成功によって、日本はフィルター付きたばこの時代になり、多様なラインナップが求められるようになった。「ロングホープ」もそうだ。

たかがパッケージデザイン、されどパッケージデザインの世界があるのである。

( 2009/08/01 )

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