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 国宝阿修羅展
国宝阿修羅展
360度拝観セット照明に人気集中
来年は、興福寺創建1300年、これを記念して公開される「国宝・阿修羅展」は57年ぶりである。14体が上野に揃うのは初めてのこと。ただし4月19日まで。21日以降は11体になる。開催期間は3月31日〜6月7日まで。7月14日〜9月27日、九州国立博物館に巡回する。国宝阿修羅をはじめ八部衆や十大弟子像など、興福寺に伝わる名宝約70件が展覧中。
展示場となった平成館２階は、４場に分かれている。第１場は「興福寺創建と中金堂鎮壇具」。鎮壇具
とは明治７年(１８７４)を手始めに明治17年、平成13年の三度にわたり発見された中金堂跡から出土した工芸品が47品。第２場「国宝阿修羅と八部衆・十大弟子像」。天平時代の仏像は、写実的でゆたかな表情が特徴。これらの像は、脱活乾漆造という、麻布を漆で何層も塗り固める技法でつくられたもの。第３場「中金堂再建と仏像」、興福寺は来年、中金堂の立柱を予定している。その壮大な規模のものが創建時の堂を再現してつくられる予定だ。第４場「バーチャルリアリティ映像」コーナー。よみがえる中金堂と阿修羅像解説となっている。
やはり阿修羅像に圧倒的ともいえる人気が集まっている。八部衆とは別に地区別の部屋に 360度拝観できるようにセットされている。照明も申し分ない。埃なども払われてきれいになった。
この像は、奈良時代、聖武天皇の后だった光明皇后が７３４年(天平６)、母の橘三千代のために建てた西金堂(今はない)の群像の一つである。年齢は約１３００歳、身長１５３�僉�体重15�圓鳩擇ぁ�寺は何度も火災にあったが、そのたびにお堂から助け出されたのは像の中が空洞になっていて意外にも軽かったせいもある。
阿修羅と言えば須弥山下の海底に住む鬼神の一種で、帝釈天と戦争を繰り返した後、釈迦の教えに帰依して仏教の守護神、八部衆に加わったとされる。仏教が天上・人間・修羅畜生・餓鬼・地獄の六道に分ける世界のうち、阿修羅が属するのは人間界以下で、修羅場の語源になった。三面六臂の異形ながら、敬虔な意志と憂いを湛え、他にたくさんある阿修羅像の中でも最も愛されている。
なぜ眉間にシワを寄せているのだろうか。青春にふさわしく眉間明るくできないものか。興福寺の阿修羅についてはすでに本欄(２００８年７月15日号、第85回)で紹介済みである。平城京への遷都によって天平文化は花開いた。中国から唐の品々が運び込まれ大陸様式は官営工房の手によって多くの作品が作られるようになった。興福寺もまた遷都にともない奈良に移され、西金堂に阿修羅を含む群像がおかれた。1300年の時を経て、何度も火災などの戦火を乗り越え、今なお明るくさわやかな印象をもつ天平仏は往時の息吹きを感じさせてくれる。今展では、八部衆像全作がガラスケースなしの露出展示で公開された。
これらの八部衆はみな148センチから155センチの間にある。首下の衣装もほぼ同様のいでたちだ。腕もみな二本。ただ阿修羅だけが腕は六本あり衣装も異なっている。顔形で言えば阿修羅だけがまともに見える。一角を生やしたり、蛇を巻きつけたり、目を吊り上げたり、鳥の顔、像頭、老人相、獅子頭とはっきり言えばマトモとは言えない。阿修羅は顔は赤らんでいるものの、まともな顔である。比較してみて阿修羅の人気の秘密が理解できた。
( 2009/05/01 )
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