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世のうちそと

 ブルグミュラーの再発見


ブルグミュラーの再発見
記念の演奏会を聴きに行く

ブルグミュラーという名前をご存知だろうか?

聞いたことがありそうな名前だが。クラシック音楽に疎い人には馴染みがないかも知らない。演奏会のビラを見てみる。

それによると「今年はピアノが誕生して300年、、日本のピアノ文化史100年を振り返るとき」、とある。トークサロン・コンサート「ブルグミュラーと日本サロン音楽」のタイトル。会場はマルシャリンホールで京王線調布駅からすぐにあった。プログラムには、このほかに曲名が並び、開演時間やチケット料金が記されている。

会場は病院の中にあり小さなスペースである。が、こじゃれたいい空間。ホールに入ると奥に2台のピアノが置かれている。70ほどの椅子は来場者で埋まっていた。お子さん10人ほどもちらほら。こどもでもわかる音楽らしい。安心して入場する。場内は女性が圧倒的多数を占めている。男性はちらほら。主催ぶるぐ協会(前島美保会長)、後援全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)とある。

演奏者も企画者も解説者もみな東京芸術大学院の仲間である。ぶるぐ協会は日本のピアノ文化にとって欠かすことのできない存在とされるブルグミュラーと日本の関係に着目し研究している。この3月8日が記念すべき第1回演奏会であった。


会場で配られた「ブルグミュラーの生涯と日本『ブルグ』事始」を読んだ。フリードリヒ・ヨハン・フランツ・ブルグミュラー(以下ブルク)は今年生誕200年、ドイツ東南部の町レーゲンスブルクに音楽監督の父、貴族の家柄の母の第2子として生まれた。まもなく一家はデュッセルドルフに移るが、17歳の時、父を亡くす。20歳でアルザス地方に移り住む。音楽教師、チェリストとして生計をたてる。1832年、パリに移住、これが人生のターニングポイントとなった。

弟のノルベルトもパリに移住したが、才能を高く評価されながら26歳の若さで世を去る。その2年前には兵士の兄フランツもギリシャで命を落としている。

以降、ブルクの音楽活動は新展開を見せて行く。バレエ音楽の作曲と上演で成功を収めた。この成功の後に書かれた作品が、日本でもおなじみの一連の練習曲作品である。ブルク45歳の時作られた。ブルクは50歳前に隠遁生活に入り67歳で亡くなる。生涯独身。残した作品は400曲を超えるようだ。そのブルク作品が日本に上陸したのは遅くとも明治後期。楽譜出版の現存する最古は昭和17年、「25の練習曲」といい、今回演奏された。ブルクは1900年前後から日本でも鳴り響いていたこと、1940年代には楽譜出版が行われていた。前島美保ぶるぐ協会会長の論文を読むことでブルクと言う人となりがおぼろげながらわかった気持ちになった。

( 2009/03/15 )

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