リセットボタン、今でしょ
1年ぶりに映画館でダニエル・グレイグ主演の007最終章ノー・タイム・トゥ・ダイを見た。ウクライナで本物の戦争を見ているせいか、カーチェイスや銃撃戦があっても気分は乗らない。観客の入りも限定的だ。コロナ禍が始まって2年余り、人が集まる場所は敬遠されている。映画館主は言う。「戦争に無駄なカネをつぎ込んでも何もいいことはない」と怒っている。経営も人が入らず大赤字らしい。これから長い間赤字解消のための経営努力を続けていかねばならない。歳との戦いもある。 戦争もまだ終わっていない。しかも長引きそうだ。 映画館の経営者は「夜の接待も無くなり、家で妻と夜ご飯を食べるので、夫婦仲も良くなり、何よりも健康になった」と喜んでいる。少しはめでたいこともあるようだ。 国際情勢に見るとアフリカは相次ぐ民族間抗争やクーデター、デモや暴動で治安は悪化している。アジア地域も経済連携が優先される中、各地で紛争が続いている。中東地域はその国の後ろ盾となる大国同士の代理戦争という側面がある。当のアメリカはトランプ政権からバイデン政権に移った。中国は勢力を拡大し、それを警戒するアジア欧米諸国が対立している。なにやら地球はいずこの国も「不安定」と断じるしかない。かといって毎日のように一汁一菜で古女房と晩酌を囲んでも日本経済は委縮するばかりだろう。 今回のプーチンの戦争は無益でしかないのだろうか。そもそも誤算でしかないのだろうか。ウクライナ人だけでなくロシア人の血もたくさん流れているはずだ。プーチンはサイコパスと言ってもいいのか。ああいう人物を生んだロシアの風土というものを考える。軍事大国でアメリカを乗り越えようとしたロシア。異民族は殺せと軍事大国を目指したが、かつての同盟国は西側陣営に取り込まれていった。その焦りと無念さは同情の余地はある。わかる。だが、一日も早く休戦のリセットボタンを押すべき時だ。
( 2022/06/13 )
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