それぞれ断腸の思いの総裁選
持病の悪化だけではなく政治的にも窮地にあった安倍晋三首相。退任すると世間の支持も30パーセント台のドン底から2倍強の60パーセントを超えてしまった。
志半ばで職を去ることになったのは「断腸の思い」だと語った。8月28日、出し抜けに始まった会見での安倍晋三さんの顔は本当に悲しそうな表情で胸が傷んだ。 すべて自分で決めたとも述べた。家族も同僚議員もどなたも信用していなかったことになる。日々心労が絶えない総理大臣のポストのはず。一国会議員に戻れば重荷も軽減する。ただ影響力は消える。誰も言うことを聞かなくなる。
自民党総裁、そして新しい首相が本日誕生した。管氏本人は総裁選には出ないと明言していたはずなのに、首相の座を手繰り寄せたのだった。経済再生と新型コロナウイルスに対応する内閣となる 本来なら後継意中の人は岸田文雄さんだった。それがよくわからぬ理由で今回は見送りとなった。本人は断腸の思いのはず。
国民的にいちばん人気があるとされる石破茂さんの胸の内はいかがであろうか?党員投票が無くなり、すでに勝ち目はなかった。これまた断腸の思いのはずだ。安倍さんもまた健康が回復したようにさえ見える。退陣は早すぎたと臍をかむ思いかも知れない。
断腸花と言う花はご存知だと思う。永井荷風の「断腸亭日乗」は今も読み継がれて人気がある。断腸は「断腸花」のこと、可憐な乙女の唇のようなピンクのはなびら、ベコニア科の秋海棠をいう。断腸の想いで恋人を思いやる女性の逸話に由来するという。別名「相思相愛草」。となれば今回の自民党総裁選びもどこか可憐な闘いのような。ダンチョネ。
( 2020/09/15 )
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