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 首里城に死角あり

 焼失した首里城にはなぜスプリンクラーがなかったのか?その答えは防火体制の問題にあった。正殿周辺の消火施設には、高圧の水を放つ放水銃は設備されていた。これに加えて「ドレンチャー」も設備されていた。
これは屋根の下から水を流して水の膜を作るもので、正殿を取り囲むように74個あった。つまり、正殿を守るための設備はほぼ標準装備されていたのである。
では、なぜ燃えたのかといえば、今回は正殿そのものから出火したために、機能しきれなかった、ということだ。
加えて首里城にとって不幸だったのは、この城にはスプリンクラーが無かったことだった。重要文化財の指定も受けていなかった。このため、文化財保護法で定められているスプリンクラーの設置業務をまぬがれてしまった。それは良いこともあった。正殿の内部にある王座や国王の衣装などの貴重な文化財を守りたいがゆえだった。なぜなら、ちょつとしたことでスプリンクラーが誤作動するなどのケースで宝物が水浸しになることを恐れたのである。
さて、話は変わって東京。消防署員が 訪ねてきた。防火管理の講習会を開くので参加して下さい、と言う。明らかに首里城焼失の余波である。沖縄の名酒泡盛焼酎に「残波」がある。その波が東京にも漂着した感じに思われた。
首里城の焼失をきっかけに、消防署は都会の雑居ビルを対象に軒並み総点検を行っているのだ。一日講習を受けたら、修了証も出してくれるらしい。
なら公園はどうだろうか。少子化が声高に叫ばれていることもあって世の中の関心事から外れた場所にある。危険や事件の舞台にもなっている。建物だけでなく公園の総点検が必要な時である。

( 2019/12/15 )

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