巨大台風19号ハギリスと歯ぎしり
大型で猛烈な台風19号が、三連休に日本列島に接近するらしい。暴風雨が来る。恐れがあるという。 15、17、18といずれも三連休を狙い撃ち。大人も子供も休みは楽しみなもの。それが奪われている。家で台風情報をウオッチしているしかない。 台風は毎年やってくる。気象庁は発生の瞬間から時々刻々情報を流してくれる。至れり尽くせりなのは有難いが「来るぞ、来るぞ」と身構えていると、あっさり、逸れてしまったと告げられるとホッとすると同時に残念な気持ちにもなる。 マンションでの生活は堅牢で、窓ガラスは市の広報車の避難勧告も聞こえない。シャットアウトする。避難する方が危ない。 ところが弱点もある。築30年ともなると屋上から水漏れがはげしい。 強風は電信柱をなぎ倒して、街路樹も根こそぎ横倒しにする。家屋被害だけでなく、街を停電に追い込む。家々の屋根をひっくり返して、温室のビニールハウスを丸裸にする。映像を見せられると痛々しい。千葉県内では・9月の台風15号の傷跡は生々しく今も電気が普及していない箇所もあるという。 台風となると大風が問題とされるが、それにもまして、雨には適わない。古いマンションは雨漏りが避けられない。屋上から漏れた雨が階下の天井を伝って階下に不意注いだのである。 そこから美しいドラマが生まれた。同じ階の独身の二人が、あらしの夜に身を寄せ合って一つ部屋にお泊りすることになったのである。ともに80代で身寄りのない二人は布団を並べて敷いて、手を繋いで眠っていたとの噂が広がった。噂を聞きつけた人は老いらくの恋を賛美した。雨にも風にも負けないモノは見つけたのである。愛に勝る物語はない。おばあさんは突然綺麗になり、おじいさんの曲がっていた古紙も少し伸びたというはなしがまことひそやかにひろがった。台風もあながち捨てたものではない。
( 2019/10/18 )
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