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 奨学金無惨

  教育によって人間が成長することは間違いない。日本は保育園に始まり大学、大学院と教育漬けの歳月だ。 

  アメリカも似たようなもの。大学となると。学費は高い。学生の半分以上が多額のローンを抱えて卒業する。平均二〇〇万円というから返済するのは大変だ

  
  今では教育は商売と言われる。だから、貸すものがいる。これは日本も同じ事情で学資金融通組織が前貸しする。教育は国家的事業だから、返済に不測の事態が生じても銀行が損失分を清算してくれるわけではない。最後は様々な救済制度もある。教育者になれば弁済しなくともいい

  だから大学へは行った方がいい。日本は高学歴社会へ向けて進んできた。少し残念なこともある。名前も知らない大学が大量にできた。当然のこと教師も粗製濫造気味となる。学校は株式会社になったのだから利益追求が第一、商売にならなければ止めるしかない。

  さらに深刻な問題は生徒の質が薄まったことだ。ために授業に追いつけない学生が大量に出る。昔から何かのスポーツに秀でた者なら、優待生として無試験で入れた。裏口はどこにもある

  昔は義務教育卒業者は金の卵と重宝され、田舎から大挙して大都市に集められた。今は中卒では就職先も狭まる。昭和三〇年代では半分程度しか高校に進学できず、高校卒業生の一、二割しか大学に進めなかった。今のような学びたい人が勉強できる環境にあるのはともあれ幸せなことだ。

  日本の教育の原点は寺子屋にある。読み書きソロバンと実にシンプルなものだった。今はスマホ万能の時代だ。スマホは何にでも応えてくれる。本当に教師が必要なのかどうかもかわからない。でも低学年ほど教師は必要だ。集団の中で学ぶのがいい。勉学は生涯かけてのものであるが集団で学ぶ時間は限られている。ここ一五〇年ほどの教育の成果は成熟した競争主義の果てに不正やごまかしがまかり通り、人を信用しない社会になってはいまいか。金銭を卑しむのは武士達の名残りであるが、今の教育環境はみなソロバンだけになっている。知の追究は生涯かけてのものなので、政治と同様にお金もかかるし、時間もかかる。トランプ大学がサギ商法と訴えられているが、これもいただけない。

( 2016/11/15 )

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