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 加藤清正 地震に降参

熊本城は熊本のシンボル的存在だ。茶臼山に建つ城は慶長12(1607)年に完成し、以降、藩主の居城となった。明治10(1877)年の西南の役では城下は焼け野原となり、天守を始め城の大部分の建造物は焼失した

築城時のまま残る石垣は、清正流と呼ばれる築き方で積み上げられており、堅牢さそのままに美しい姿で見るものを魅了する

平成に入ってからは南大手門、いくつもの櫓、本丸御殿など城ゆかりの建造物が次々に復元されてきて堂々たる熊本城が、よみがえりつつあった

こうした矢先の今回の地震である。石垣は崩れ、天守閣は傾き、屋根瓦は落ちて砕けた。国の重要文化財に指定されている13の建造物全てに被害が及んでいる。文化財だけに問題は多い。修復には数百億円を要し、完成は10年以上先になるという話だ

今回の被害で話題を集めたのが飯田丸五階櫓だ。石垣が大崩れして床面が露出した。なのに一本垣とよばれる算木積みは残り櫓の土台を支えている。まさに奇跡と言える。往時の石積み職人の智恵と技術に称賛の声がしきりである

熊本市都市政策研究所(蓑茂壽太郎所長)が「都市形成史図集」(1,2集)が発刊されたばかり。それまで目にしなかった多くの地図史料と解説から熊本の都市の変遷と生成を知ることができる貴重な資料集となった。出来上がった直後、今度の地震が起きたのである。第3集は地震特集となるのだろうか。断層帯があることは皆さん知っていたが、起きたことはなかったのである

今回の地震で日本全国で何時でも起こり得ることを証明した。日本は安全ではない。事故が発生した場合には膨大な費用が必要になる。新潟、阪神、三陸そして熊本の惨状でそのことが立証されたのではないか。さしもの清正公も今回の地震には白旗をあげたのか。

( 2016/05/15 )

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