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書籍名 : 植物は偉い |
著者名 : 柳田 友邦 |
定価 : 1,365円(税込) |
判型 : 四六判変形・220頁 |
書籍概要 :
小紙で連載してきた「植物は偉い!」に書下ろしを加え、10月10日、発刊した。植物と人の生命を見つめてきた科学者の最初で最後のメッセージである本書は、植物に対する感動、感謝の書であり、植物の不思議について、わかりやすく示されている。
◆青木 宏一郎氏書評
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植物通を自認する人は多い。が、花の名前や性状について詳しくても、植物が生物の生産者として、また、分解者として、地球の誕生、太古から綿々と働いてきたという事実を科学的に解説できる人は稀である。せいぜい、光合成や呼吸作用程度までで、バクテリアやアレロパシー(植物相互間の他感作用)の話ともなると、さっぱりついていけない。
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本書はそうした、科学の苦手な花好きでも、容易に手にとって読むことのできる案内書である。細胞分裂やホルモンなど高度の知識を説く一方で、「衰退期の恐竜は下痢に悩まされていた」とか、「ルイ十六世がジャガイモを国民に普及させようとして用いた作戦とは?」のように、“トリビア的雑学”も数多く紹介されていて、読む人を飽きさせない。
全編を通じて強く印象づけられることは、筆者の植物、ひいては自然に対する姿勢の謙虚さである。植物を研究対象として上から見下ろすのではなく、筆者の専門である土壌のように下から、それも目には見え難いところまで注意を払っている。また、共に地球に暮らす仲間として、愛情と、「ノーベル賞にも匹敵する」という最大級の賛辞からもわかるように、多大な尊敬をもって植物に対峙している。当然、その筆致も謙虚であたたかい。時に「人はあまりにも植物を軽視している」と嘆いたり、憤りを見せることもあるが、そういう時でさえも、常に節度ある表現で、押しつけがましさを微塵も感じさせない。
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今一つ特徴的なことは、終世“現場”で植物と関わることにこだわり続けた、筆者ならではの視点が随所に見られることであろう。とりわけ、砂漠の灌漑や利用法について語る項は、広範な知識と長年の経験に裏づけされた説得力あふれる自論を展開させ、筆者の面目躍如たる感がある。
生前「八五歳ぐらいになった頃から、心から生きている楽しさを味わっている」と語っていた筆者。その油に乗った時期に書かれた本書は、植物と関わることの素朴な楽しさを私たちに伝えようとしている。
著者名:柳田 友邦
定価:1,365円(本体1,300円+税5%)
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