書籍概要 :
●都市の緑と造園再生への知恵
本書は、環境緑化新聞に連載した『緑花評論』を中心に、筆者である東京農業大学・近藤三雄教授の関係記事を集め、若干の加筆修正を加えて一冊の本としてまとめたもの。しかし、単なる既出記事の集成にとどまらず、筆者の造園思想が文字を通して伝ってくる大著である。
連載のきっかけとなった「今、何故『緑花評論』か」は、第一章に盛り込まれるが、この「今」は現在の我われが直面するものであり、さらに今後の課題でもある。
まえがきで筆者は、「指摘した事柄は、決して目新しいものではなく、造園人であれば、誰でも思っていること、感じていることだと思う。ただし、誰も口に出して言えないことを、恐いもの知らずの筆者が代弁したにに過ぎない」と述べる。
その言葉の通り、屋上緑化やガーデニング、街路樹‐‐をはじめ、維持管理など、歯に衣を着せず、問題の所在を指摘している。その上で、そうした現状“いま”を打破するための解決策や構造改革について、筆者の術をその糸口として、惜しむことなく示し、「環境の時代といわれ、本来は活況を呈してもいいはずの造園界が気息奄々として喘いでいる〜元気と活力を与えるカンフル剤となれば筆者望外の喜び」という。
これまで数多くの技術書を著した著者だが、率直な疑問、不満、問いかけから、問題点を明らかにし、打開策や提案といった改善法について言及したコラム集・造園哲学・思想本は初めて。副題の通り、「都市の緑と造園再生への知恵」がふんだんに盛り込まれている。 |