ジャン・ジオノ作、寺岡譲訳のこの本は素敵と言うよりも立派と言うべきでしょう。 フランスの荒れ果てた土地を、たった一人で豊かな緑に変えた男の物語です。 誰もが捨てて行った土地に、毎日100粒のドングリを植えて行く、偉大な世捨て人のような男の話は、もう誰でも知っている話でもあります。それ程に有名な話をなぜここでするかと言うことです。 私がこの物語を知ったのは、私自身が福山市の里山の中腹を走るグリーンライン元観光道路が廃止になって19年間、放置されていた沿道15Hにわたって、空き缶やごみを拾い、原野と化していた周辺の空き地1万Fを開墾して、花と緑を植え始めて5年が経っていたときでした。 この頃の私は、この緑化奉仕に行きづまりを感じていたのです。それと言うのは、今でもそうですが、目ぼしいものは持ちさられるし、誰一人として協力者もなく、続けるか否かと悩んでいた時に『木を植えた男』に出会ったのです。 以来、私は勇気100倍にして、今年で丸10年を迎えることが出来ました。その間には50年ぶりに出会った友人から、協力しようと言うこころ暖まる励ましを頂くことも出来て、続けていて本当によかったと、声を大にして叫びたい気持ちです。 今年は丸10年を記念して平素の5倍、5000本余りの挿し木と、5万粒のドングリを蒔きました。後20年間このまま緑化を続けるとしたら、90歳になりますが、何があっても、森の完成を見なくては居られない気持ちでいっぱいです。 『木を植えた男』このような立派な人生の持ち主に出会えたことは、私にとって、生涯の伴侶を得た思いです。 |
第3回(1996年)のみどり提言賞は、「私の読書体験」「私の公園体験 (良い公園・悪い公園)」「 私のアウトドア体験」をテーマに、募集期間〜96/08/31・1,602通のご応募がありました。 |